梅雨シーズン到来でテンションが下がっていますが、この時期で唯一嬉しいことが、紫陽花を撮影できるということです。
今回はX100Vでの紫陽花撮影レポートをおとどけします。
目次
紫陽花は意外と近所に咲いている
コロナ禍もあってなかなかお出かけしにくい今日この頃。
紫陽花がたくさん咲いている名所に行くのは憚られるため、近所を散歩がてら撮影することにしました。
紫陽花ってシーズン以外はその存在が目立たないので、気づいていないだけで意外な場所に咲いていたりするんです。
今回は自宅から徒歩5分圏内を散歩しただけですが、思っていたよりもたくさんの紫陽花を見ることができました。
紫陽花を見つけるためにちょっと意識して歩くだけで、普段の散歩道が全然違うものに感じられます。
足元を注意深く見てみたり、逆に空を見上げてみたり、路地の奥をのぞいたりしてみると、新しい発見があります。コロナで出かけることができなくて撮影チャンスがないという方は、試しに近所を散歩してみてはいかがでしょうか。
どのフィルムシミュレーションで撮るか
紫陽花の撮影って結構シビアです。
というのも、意図した色味を再現するのが難しいからです。


紫陽花はその株が育った土壌がアルカリ性なら青色になり、中性〜弱アルカリ性ではピンク色になるため、株ごとに色が変わります。
また、部分的に白や黄色っぽい色が混ざっていたりしているため、各色のバランスを整えるためにホワイトバランスの調整に手間がかかります。
加えて、フィルムシミュレーションの違いによっても色味はかなり変わります。
たとえばベルビアで撮ると彩度がキツくなりすぎますし、
クラシックネガだと逆に彩度が低くて色の美しさが伝えきれません。



※左から順にプロビア、ベルビア、クラシックネガで撮影した朝顔です。
なので今回は普段はあまり使わないプロビアをメインとし、ベルビアとクラシックネガをフィルムシミュレーションブラケティングを活用してベルビアとクラシックネガを同時撮影してみました。
紫陽花撮りの構図
私の場合はオーソドックスに三分割構図や日の丸構図で撮ることが多いです。
紫陽花に限らず花は複数の株が群生しているので、三分割構図で複数の花を画面に入れたり、目立つ花を1つ中心に据えて日の丸構図で撮ると印象的な写真になりやすいと思います。
工夫してマンネリ脱却
なんだかんだでほぼ毎年紫陽花を撮っているのですが、ここ3、4年はさすがにマンネリ感が否めません。
花の撮影は、他の撮影よりも被写体が明確なので、花にピントを合わせて、前後を大きくぼかせば、背景処理や構図をさほど意識しなくともそれなりのものが撮れます。
※背景を大きくボカした紫陽花。これはこれで綺麗ですが最近はちょっとマンネリ…
写真を始めたばかりの頃はそれで満足していたのですが、徐々に飽きてきてしまい、最近ではアングルや背景を意識することで、自分なりの表現を考えながら撮るようにしています。
工夫1:アングル
1つ目はアングルです。大きく分けると下記の3種類があります。
・見下ろす角度(ハイアングル)
・水平の角度(水平アングル)
・見上げる角度(ローアングル)
今回はハイアングルとローアングルを意識してみました。
ハイアングルであれば背景が限定され、狭い場所にグッと押し込められたような感じになります。同時に露出をアンダー気味にすることで、梅雨の薄暗く湿度を伴った雰囲気を演出できます。
ローアングルの場合、空などの抜け感のある背景をもってくることができます。
曇り空とそこからわずかに覗く青空を背景にして、空に向かって伸びる紫陽花の力強さのようなものが感じられなくもないですね。
工夫2:画角
※工夫1でのハイアングルと同じ写真です。周囲を入れ込むことで、見た人に想像する余地を与えます。
紫陽花を大きく写すのも綺麗ですが、あえて少し引いて周りの景色を入れ込むことで
どこに咲いているのかを想像できます。
日当たりはどうか、植えられたものか、自生しているのか、多くの人にみられているのか、ひっそりと咲いているのか……
写真を見た人の中にストーリーが出来上がります。そのストーリーが写真の奥行きとなり、より印象的なものにすることができます。
工夫3:マクロ(風)
X100Vにはデジタルテレコンバーターという画角調整機能があります。
デジタル処理で画素を補完することで、一般的なデジタルズームよりも綺麗に撮れるのですが
これを活用することで、擬似マクロのような使い方ができます。
元々X100Vは最短撮影距離が短く、かなりよって大きく撮影できるのですが
デジタルテレコンでさらに寄って撮影できるので、葉先についた小さな虫も撮ることができます。
このように思い切りアップにしてみることでも、いつもとは違った印象の写真を撮ることができます。
工夫4:露出
今回はアンダー目で撮影してみました。
周りの葉をあえて多めに入れて、背景には少し地面をいれることで「工夫2:画角」でも述べたように周囲の環境からストーリー性も持たせています。暗めにすることで紫陽花の青色をより印象的に残せています。
まとめ
現代は、カメラ性能の高いスマートフォンを使えば、何も考えなくても綺麗な写真が撮れる時代です。
そんな時代にあえてカメラを使うのは、撮影すること自体が楽しいからです。
どんな表現にしたいのか、そのためにどんなアングルで撮ればいいのか。
色をどう調整するか、背景をどう切り取るのか。
そんなことを試行錯誤する時間、手間暇かけて撮影する行為そのものがカメラの魅力だと思います。
これから紫陽花を撮る機会があればぜひ色々と工夫してみてください。