これから雨の季節がやってきますね。
革靴好きとしては、靴が濡れないか神経過敏になってしまうので
この季節はどうも苦手です。
今回はそんな季節を迎えるにあたって、
お気に入りの革靴を雨から守ってあげるために
どのようなケアをしてあげれば良いのか、
記事にしたいと思います。
どういった仕組みで雨から革靴を守るのか
手入れの意味を図を交えて説明していきますので
各工程の意味・役割を理解したうえで
自信をもってお手入れできるようになれます!
【この記事に向いている人】
・革靴の手入れ初心者
・雨の日でも革靴を履きたい人
・革靴の手入れはしているが、一つ一つの工程の意味はあやふや
・革靴のケア用品って種類が多くて何を買えばいいかわからない
目次
用意する道具
【1】シューツリー
【2】ほこり落とし用ブラシ
【3】クレンジングウォーター(ステインリムーバー)
【4】リムーバークロス
【5】乳化性クリーム
【6】ペネトレイトブラシ(クリーム塗布用)
【7】油性クリーム
【8】クリーム伸ばし用クロス
【9】クリーム慣らし用ブラシ
【10】磨き用グローブクロス
【11】防水スプレー
※今回はワックスは使用しません。
【図解】革靴を雨から守る仕組み
まずは手入れ前後で革の状態がどう変わっているのかを解説します。
履いた後、手入れをしていない状態の革靴は、小さなホコリや砂、泥、水などでかなり汚れています。
定期的に手入れをしていない場合は、水分や栄養分が抜けてしまい、傷みやすい状態になっています。
この状態では雨水などを吸収しやすく、吸収した雨水が乾燥するときに
さらに余計な水分が抜けてしまい、どんどん乾燥して傷んでいってしまいます。
しっかりと手入れすることで、革の中に栄養と水分が行き渡れば、余計な水分を吸収しないようになります。
また、革の表面を「油性クリームによる油膜」と「防水スプレーのフッ素」でコーティングすることで、雨水をしっかりと弾くことができます。
きちんと手順を踏んで磨くことで
この理想の状態をつくることができます。
ここからは主要な工程とその効果を説明します。
【復習:手入れ前と手入れ後の状態比較】


1.汚れを落とし、クリームを浸透しやすくする
【イラスト図解】
ほこり落とし用のブラシと ステインリムーバー(汚れ落とし)によって、革表面のよごれが落ちた状態です。
また、ステインリムーバーによって革が少し潤っています。
【実写による工程解説】
まずはほこり落とし用ブラシで革の表面に付着した汚れを落とします。


続いてステインリムーバーをクロスに付けて、
革の表面を優しく円を描くようにして古いクリームや汚れを落とします。
ブラシとステインリムーバーで、ほぼすっぴん状態+少し保湿された状態です。
2.革に十分な潤いと栄養を与えて、”雨水の染み込む隙間”を無くす
【イラスト図解】
続いて乳化性クリームを塗り込み、水分と栄養を補給した状態です。
この状態だと革の細胞に水分と栄養が十分に行き届いているため
雨などの余計な水分が入り込みにくくなります。
【実写による工程解説】


乳化性のクリームをペネトレイトブラシに少量とります。


ステインリムーバーのときとおなじく、優しく円を描くようにしてクリームを塗り込みます。
塗り込んだ後は表面が曇ったような感じになります。


曇った状態の表面には余分なクリームがのっているため、
ブラシを使って伸ばし、余計なクリームを取り除きます。
ブラッシングによってほどよい光沢が出てきました。
3.油性クリームの”油膜”でコーティング
【イラスト図解】
続いて油性クリームを塗って、革の表面をコーティングします。
油性クリームの成分は乳化性のクリームと比べて、油分とロウの割合が高く、
革に浸透しにくい反面、革の表面をコーティングして水を弾いてくれる効果があります。
また油分が革の乾燥を抑えてくれる効果もあります。
油性クリームの中には、乳化性クリームと同じように
革に浸透して栄養を補給し、保湿もできる万能タイプのものもあります。
ただし、水分や栄養の補給という観点では乳化性クリームの方が優れているので
しっかりと手入れをする際は、
乳化性クリームと油性クリームそれぞれを使用した方が良いと思います。
【実写による工程解説】


油性クリームを塗ります。たくさん塗りすぎないように少量ずつクロスにとり、
円を描くように塗っていきます。
クリームを塗り終わった状態はやや曇った状態です。


ブラシを使ってクリームを伸ばしつつ、余分なクリームを取り除きます。
さらに乾拭き用のグローブで磨くと、艶やかな光沢が出てきます。
ここまで来れば、革には十分な水分と栄養が行き渡り、
表面は油膜によって守られている状態の完成です。
雨などで水に濡れる心配がなければここまでで十分です。
さらに華やかに光沢を持たせたい場合は、ワックスを使うこともできますが
今回の記事では省略します。
4.防水スプレーの”フッ素”でコーティング
【イラスト図解】
最後に防水スプレーを振りかけます。
表面にフッ素樹脂が付着し、水滴よりも細かなサイズで毛羽立つことで水分を弾きます。
完全にコーティングしてしまうシリコンタイプのものとは違って通気性は保たれます。
【実写による工程解説】
靴から20cmほど離れた場所からスプレーを振りかけます。
表面が軽く濡れるくらいに、全体に満遍なくスプレーしてください。
そのまま通気の良いところで
30分〜1時間ほど乾かしたあと、乾拭き用のグローブで軽く磨いてください。
力を込めて磨きすぎると、フッ素樹脂が落ちてしまいますので
ほどほどを心がけてください。
まとめ
今回は革靴の手入れについて、イラスト図解を交えながら、各工程の意味・役割を説明しましたがいかがでしたでしょうか。ただ手順を真似るよりも、各工程の意味を理解することで自信を持って手入れができるようになるのではないでしょうか。
これからの季節、雨の予報を聞くと革靴を履いて出るのを躊躇ってしまうと思いますが、多少の雨であればこの記事で紹介した手入れで問題なく履けます。
(色の薄い革靴やコードバンの場合は例外ですが。。)
大切な革靴をしっかり手入れして、憂鬱な梅雨を乗り切っていきましょう!